おじちゃんのお話
私が今住んでいる家は、もともと母方の祖父の妹夫婦の家でした。
数年前、その“おじちゃん” が亡くなり祖父の妹が一人で暮らしていたのですが、 それが難しくなり施設に入ったことがきっかけでした。
わけあってまだお墓がない為“おじちゃん“ の遺骨はそのマンションにあり、 祖父の妹が施設に入った後私が住むにあたって、 祖父の仏壇をみている母の二番目の弟の家で一緒にみてもらうこととなりました。
母の二番目の弟は、兄弟の中で一番霊感が強く“見える人“ ということと、 南部出身で風習を大事にしている従兄のおじさんも一緒に住んでい るというのもあって引き受けてくれました。
祖父の妹夫婦のマンションのつくりはとても変わっていて、 部屋を分けている木のサッシを開けると寝室側からリビングが見えるようになっています。
去年の秋、私は夜中に目が覚めてしまい、ふと開いているサッシからリビングの方を見るとその亡くなった“ おじちゃん”がベランダの方を向いて、猫背で立っていました。
『どうしよう、見ちゃったな。』と思いながら目をつぶり、 色々考えているうちにまた寝てしまいました。
怖いという気持ちは全く無く、『“おじちゃん“ は迷子になっているんじゃないか、まだここに住んでいて、 おばちゃんを探しているんじゃないか。』 そう心配な気持ちになり、申し訳ない思いを母に相談しました。
母はその時、「大丈夫よ。」とだけ言い、それ以上何も言いませんでした。
今年のお彼岸、遺骨を預かってくれている母の弟の夢に“ おじちゃん”が出てきたらしく、自宅に訪ねてきて、「いやぁ、 遅いから兄さん(私の祖父)を迎えに来たんだよ~」 と言ったそうです。
おそらく自分の居場所もわかって、二人で一緒にあっちの世界に帰れたんだなと思いとても安心しました。
私もそれ以来、“おじちゃん”を見ることはなくなりました。